敬虔な仏教徒でない限り、数珠と言われてもいまひとつピンと来ないかもしれません。数珠は仏教式の葬儀で使用するものです。葬儀がキリスト教式の場合には、勿論持っていく必要はありません。この数珠ですが、どのようなものが適しているのでしょうか。なかなかわからないことが多いですね。まず、本連数珠というものがあります。これは、玉の数が煩悩の数と同じ108あります。長くなりますので二重にして使うことが多いようです。次に、片手数珠というもので略式の短い数珠になります。多くの人が片手数珠を持っていると思います。正式には本連数珠がいいと思いますが、そこまで本格的でなくとも誰も咎めませんので、片手数珠で十分と言えば十分です。礼服を購入するときに、同じ売り場に数珠も販売されていることが多いので、比較的見つけやすいと思います。金額も2000円くらいから数万円のものと色々ありますので、用意した礼服のグレードに合わせて数珠も選ぶと良いでしょう。最近では、100円ショップでも数珠が売られている時代になりましたので、気負わずに購入しましょう。
冠婚葬祭への参加を考慮して新たに礼服を購入する際には、それに伴う必要最低限の小物も同時にしっかりと揃えておきたいものです。たとえば数珠なども、そういった「揃えておきたい小物」のひとつと言えます。礼服といっても慶事にばかり使用するわけではありません。言うまでも無く弔事においても粛然と身につけてゆくわけですから、そうした関連物の中でも、明らかに使用頻度が高いとされる数珠に対して無頓着なままでは、それこそ礼を失してしまうことにも繋がりかねません。それを踏まえた上で、まず理解しておくべきことは、仏教にはさまざまな宗派が存在しているという事実です。つまり、各宗派によって数珠の使い方や形がそれぞれ異なっているわけです。それゆえ各派の違いに混乱してしまうこともあるでしょうが、仏式の弔事では、自分の宗派の念珠を準備しておけば問題なしとされています。ちなみに、玉の数が基本として108個あり、二連にして扱う本式念珠が本格的なものなのですが、玉の数が少ない略式念珠をあえて購入する方も少なくありません。この略式念珠は、いずれの宗派でも使用可能で大変利便性に富んでいます。
日本には多種多様な宗教が共存しています。その数だけ様式の異なる葬儀が存在すると言い換えても良いのかも知れません。数珠は基本的に故人や遺族の宗派のものに合わせて用意するものではなく、自分自身の宗派のものを使用すれば良いとされているのですが、これはあくまでも仏式の葬儀であった場合に限っての話です。厳かな式典のための衣装である礼服の着用はともかく、他の宗教では当然数珠をまったく扱わないことも多々あります。さて、そんな時は、参列者としてどのような行動をとることが最もマナーに即していると言えるのでしょうか。真摯に自分なりの哀悼を捧げるというのも、もちろん悪くはありません。しかし、それで故人の遺族や他の参列者が気分を害してしまっては本末転倒です。また現在においては、無宗教という形での葬儀も数多く行われています。そういった時は、礼服のポケット等に数珠をそっと仕舞い、しめやかにその場の空気に馴染むような形を以て、お世話になった故人をしのぶべきなのです。